『「学力」の経済学』から考える今後の日本社会の可能性

本屋さんに行くと、多くの店頭ではその時々で売れている、話題となっている書物を並べるコーナーがあります。およそ1年前、ある本屋の店頭にて私は『「学力」の経済学』という本に出会いました。教育経済学者の中室牧子さんの著であり、私はかなり教育界への関心が深いため、何度も何度もこの本を繰り返し読んでいます。
では、1つ問題を出します。教育に対する支出を投資として考えた時、最も収益が大きくなると考えられているのは次のうちのどの時期でしょう。(投資と考えるあたりがまさに「経済学」という感じがしますね)
�@就学前�A小学生�B中学生�C高校生�D大学生�E大学院生
答えはさておき、現在の日本では�@ほど支出が少なく、�Eに近づくにつれて大きな予算がかけられているという状況です。大学生や大学院生ともなると、高度な専門的研究などがありますから、高い予算が請求されるというのは十分に理解できます。
さて、それでは問題の答えに戻りますと、正解は�@です。詳しい説明は、本の中に詳しく書かれているのでここでは省かせていただきます(某総理大臣の「読売新聞参照」のような形で申し訳ないです・・・)が、とにかく就学前の時期に学力とは別の非認知能力というものを教育の中で子どもに獲得させていくことが何よりも重要であると述べられています。非認知能力とは、我慢する力や協同する力、学習意欲などなど学力の獲得の土台となるような能力をさしますが、これをきちんと身につけていれば、将来的に年収は高く、喫煙率や肥満率、逮捕率は低く、豊かな生活を送れるようになるというわけです。このことは他国において実証され、すでにエビデンスが確立しているのです。
では、日本に目を向けてみると、現在問題となっているのは待機児童。待機児童が発生しているということは、つまり、就学前の教育の機会をある種奪っているともいえるわけです。人生設計の上で最も重要となる時期の教育機会であるにも関わらずです。
もちろん、家庭において保護者の方がきちんと教育をしておけば、このような非認知能力を獲得することもできるのでしょうが、待機児童の問題は女性の社会進出を阻む要因にも、少子化の要因にもなっています。
今後の日本社会を憂うのであれば、教育に対する予算のかけ方を大規模に変えていく必要があるのではないかと、そういうことを考えさせられる一冊です。ミュゼ 400円 本当に